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[規格戦争]「国際標準」で勝つ

1 :BTRONψ ★:2006/04/04(火) 10:41:56 ID:???
 日本の製造業の競争力を考えるうえで重要なことの一つが,標準化活動を戦略的に進めることである。
しかし日本は,国際標準づくりの場で自社や自国が有利になるように誘導する力に劣る,という指摘がある。

 例えば「TRON」で有名な東京大学教授の坂村健氏は
『グローバルスタンダードと国家戦略』(NTT出版)という本の中で次のように書いている(同書p.86)。

   (標準化活動は)最初のうちは,いろいろな技術的問題などが出されて,
   技術者同士のフランクな話し合いから始まる。しかし,その先は戦いだ。
   自社が有利になるように必死になってかかってくる。
   その点でも日本には勘違いしている人がいる。
   最後は民主主義的に投票で決めることになるのだが,
   それまでに出す意見は皆,自分が有利になるように言う。
   そして,バックチャンネルも当然あって,
   「オタクの仕様のこの部分を入れるから,ウチの仕様案に賛成票を入れてくれ」
   といったネゴシエーションも行われる。
   日本で問題なのは,そういう交渉を英語で各国代表と行えるタフネゴシエーターと
   テクノロジーのわかったエンジニアとの間に溝があるということだ。
   (中略)欧米からはその分野のエンジニアでありながら,
   タフネゴシエーターの素養もある人などが出てくるから,
   ギリギリの交換条件がその場ですばやく提示できる。
   「そこはよくわからないので,本国の開発陣に問い合わせて…」などとやっていては,
   バーゲニング・パワー(注:取引における交渉力)で負けてしまう。

 標準づくりの活動というと,業界全体や社会全体の利便性を考えた公的な活動と言うイメージが日本では強いようだが,
それは最初の段階または表向きで,自社の利益を盛り込むしたたかな戦略が必要とされるということのようだ。

 もっとも日本の産業界や政府関係者もこうした問題を手をこまぬいて見ているだけではない。
なんとか打開しようという機運は数年前から高まってきている。

>>2-

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060403/115693/

2 :BTRONψ ★:2006/04/04(火) 10:42:08 ID:???
 日本経団連産業技術委員会国際標準化戦略部会は2004年1月20日に発表した
「戦略的な国際標準化の推進に関する提言」の中で,次のように述べている。

欧米各国は官民あげて自国の優位性の確立に向けて政策を展開している。
(中略)一方,わが国においては,産業界自身の国際標準化へのかかわりが十分でなく,
それとあわせて,政府の支援体制も必ずしも十分ではない。
わが国としても,わが国の優れた技術を国際競争力の強化につなげるために,
官民あげて情報を収集し,戦略的な国際標準化活動を展開していかなければならない。

 また経済産業省も標準化の意義と価値を明らかにする目的で,2003年に経済学者や標準活動に取り組む企業人などからなる
「標準化経済性研究会」を立ち上げている。同研究会は研究成果を発表するシンポジウムを開いたり,報告書を発表している。
筆者は2004年に開催されたシンポジウムに参加させていただいたことがあり,関係者の方からこの3月にまとまった
「平成17年度標準化経済性研究会 報告書(案)」という資料を送っていただいた。A4判で83ページにわたる充実したものである。

 中でも圧巻はこの3月1日に開かれた「第2回 事業戦略と標準化シンポジウム?標準化の経済性?」(同シンポジウムの概要)における
パネルディスカッションの議論の内容をそのまま載せている部分である。実は筆者は,この資料をこの日曜日,
米国デトロイトに向かう飛行機の中で読んでいたのだが,機中なのに会場にいるような臨場感におそわれたほどである。

 報告書そのものはいずれ公表されると思うのでぜひお読みいただければと思うが,筆者が特に印象に残った部分を紹介したい。

3 :BTRONψ ★:2006/04/04(火) 10:43:40 ID:???
■何のための「国際標準化」か

 この報告書を読んでまず思ったのは,
標準化は何のために進めるのか,もう一度原点に戻って考えたほうがいいのではないか
ということである。標準化活動の出発点は,標準化を進めないとコストアップになったり,
顧客の利便性が高められないという問題点を解消することである。
しかし筆者は以前から,そうした「大義」にのみ目を奪われることが優位性を失う落とし穴になるのでは
という気がしてならなかった。それを最も感じた事例が,東京大学の富田純一氏らが発表した
半導体の300mmウエハーの標準化の報告であった。

 半導体産業ではコストダウンを進めるために,ウエハー口径を200mmから300mmに大きくした。
しかしウエハーのハンドリングが難しくなったので搬送装置を自動化する必要がでてきて,
結果として設備投資額が膨張するという問題に直面した---これが出発点である。
この問題を解決するために決断したのが,工場の搬送システムを標準化し,投資額を抑えることである。
標準化は,業界団体であるSEMIの主導で進んだ。

 標準化が進んだ結果,デバイス・メーカーは特定の装置メーカーから装置を購入する必要がなくなった。
複数購買が可能になり,当初の思惑通り購買コストは下がった。
こうした標準化によるコスト削減効果は,2万枚/月の量産ラインの規模で383億円に上るという。

 日本のデバイス・メーカーは,早くからこれに気づいて活動を続けていた。
しかし,結果的には韓国勢に先を越されてしまう。標準化活動を進めていた現場レベルでは
300mm工場への投資は必須であり,そのコストを抑えるための標準化活動だと認識していたのに,本社の投資判断が遅れてしまったという。


4 :BTRONψ ★:2006/04/04(火) 10:45:14 ID:???
■敵を利する標準化活動

 司会者の東京大学助教授の新宅純二郎氏は,このあたりの半導体業界の状況をパネルディスカッションで次のようにまとめた。

   日本の半導体メーカーは製造工程にノウハウをもっていて,
   それが半導体産業で戦っていくための重要な知識だった。
   しかし投資負担が大きくなったため,その負担軽減のために標準化した。
   その結果,確かにコストは削減できた。
   しかし,その標準には日本企業のノウハウが込められており,
   今までそれを持っていなかった半導体メーカーも同じものを使えるようになってしまった。
   日本企業にとって、絶対コストは下がったが,相対的な差は縮まってしまった。
   優位にあるところを標準化してしまって瞬間的にはコストが下がったが,優位性が小さくなってしまった。

 半導体分野は資金力の問題もあって厳しい状況に陥っているが,
一方で分野によっては標準化戦略をかなり戦略的に進めて成功している業界もあるようだ。
その代表が,東京大学特任研究員の小川紘一氏が報告した複合電子部品の標準化活動の事例である。



5 :BTRONψ ★:2006/04/04(火) 10:46:39 ID:???
■デジュール規格を組み込んだ「中摺り合わせ・外モジュラー」戦略

 小川氏は,日本の受動部品業界がデジュール規格で成功した要因を分析し
「中摺り合わせ・外モジュラー」戦略(Tech-On!の関連記事)をとれたためだとする。

 つまり,内部においては徹底的な摺り合わせを行って技術が拡散しないようにブラックボックス化し,
他社が簡単に真似できないようにする。そのうえで,その部品そのものは標準化を進めてデジュール規格とし,
部品を使う製品のアーキテクチャはモジュラー型にするのである。小川氏はこの戦略を
「国際規格に知財や技術をカプセル化する」と表現する。

 しかし,日本の電子部品メーカーの「戦い」はけっして容易なものではなかった。
電子部品の分野では,パッシブ型・単機能型からアクティブ型・多機能型の複合電子部品へと主流が切り替わりつつあるが,
米国は複合電子部品のモジュール標準を決めるに当たり,日本が得意とする設計・材料・プロセスなど
内部構造すべてを標準化,つまりオープンにすることを厳しく迫ったのだという。

 それに対して,日本の電子部品業界は
「日本の部品業界にとっての標準化とはユーザー(部品を使うセット製品)との共通言語を標準化することであり,
性能の外部仕様すなわちセット製品との物理的・電気的なインターフェースのみを標準化して,
それ以外については各企業の文化を尊重するという方針を死守した」という。
日本の電子部品業界はユーザー企業への説得を続け,米国の主張を退けて
日本企業案をベースにしたデジュール標準になりつつあるのだと小川氏は報告している。



6 :BTRONψ ★:2006/04/04(火) 10:47:55 ID:???
■鍵握る「競争領域」と「非競争領域」の線引き

 この電子部品の成功例に学ぶべきは,
差別化に結びつかない領域を「非競争領域」,
差別化に結びつく領域を「競争力」として
競争力を上げる戦略に優れていた,ということである。

 しかし,業界が置かれている環境や技術動向などによって,この「競争領域」と「非競争領域」はダイナミックに変化する。
その線引きをどうするのかは難しい問題で,だからこそ重要なポイントになる。

 半導体の場合にしても決して最初から負けるつもりで標準化活動をスタートしたわけではない。
「競争領域」と「非競争領域」を設定しようとはしていた。結果としてその線引きがうまく行かなかった要因の一つは
自社の強みをしっかり把握していなかったことである。例えば,富田氏は半導体産業の報告の中で,
搬送コマンドについて国内メーカー各社が差別化要因でないと判断して推奨した標準が
海外メーカーにとっては重要なノウハウだったという事例を紹介している。

 以上から標準化戦略の「基本」をまとめてみると,自社の強みがある領域を競争領域として標準化の対象から外し,
自社が弱い領域を非競争領域として標準化を推し進める。そのために,自社の強い領域,弱い領域をしっかり認識して,
適切な線引きを図る---ことである。どこかずる賢い戦略のような気もするが,外国勢がそういう姿勢で来る以上,
日本もタフにならなければならないようである。


7 :BTRONψ ★:2006/04/04(火) 10:48:58 ID:???
■これからが正念場?自動車業界の標準化戦略

 さて,日本メーカーが高い競争力を誇っている自動車業界にも国際標準化の波は押し寄せてきている。
その代表が,ECU(電子制御ユニット)の組み込みソフトウエアの開発手法の標準化活動である。
パネルディスカッションの発言で少し気になったのが,
自動車業界の標準化活動の出発点が
半導体の状況に近いのではないかという指摘である。

 半導体では300mmウエハーの投資増大への対処法として標準化活動が始まったが
,自動車でも開発工数の増大に耐えられなくなって活動がスタートした。
自動車分野では標準化活動のステージから言うと,まだ初期の「和気あいあい」の段階で,
エゴ丸出しの熾烈なかけひきは始まっていないようである。
でもいずれ「競争領域」と「非競争領域」の線引き問題の重要性は高まっていくのは歴史の必然のように思える。
半導体業界が経験したことを反面教師とし,電子部品業界の成功パターンに学んで,
自動車業界でもしたたかな標準化戦略を推し進めていってほしいと思う。

 筆者はこの原稿をデトロイトで時差ボケと戦いながら書いている。
まもなくSAE(米自動車技術会)が開幕する。
SAEでもさまざま局面で標準化の話し合いや駆け引きが行われるだろう。
日本の関係者の健闘を祈りたい。


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